
風速20メートルの予報や実況が出たとき、日常生活や仕事、屋外イベントは何を基準にどう判断すべきか。
本記事は、気象庁の基準と実例に基づき、暮らし・交通機関・イベント運営への具体的な影響と、直ちに取るべき安全対策を分かりやすく整理します。
結論として、風速20メートルは「非常に強い風」に相当し、瞬間風速がさらに強まる場面では、屋外活動は中止・延期を前提に検討し、特にテントや仮設ステージなどの設営物は使用を避ける判断が妥当です。
この記事で分かることは、平均風速と瞬間風速の違い、20メートルの体感や身近な現象、歩行・自転車・洗濯物・屋外設置物への影響、建物(窓ガラス・屋根)や飛来物のリスク、電車・バスの遅延や運休、高速道路の速度規制や通行止め、横風時の運転の注意点、屋外イベントの中止・延期基準と参加者への注意喚起、さらに停電・断水に備える緊急対策までを網羅している点です。
台風や発達した低気圧に伴う強風、暴風警報や強風注意報が発表された場面で、家庭・事業所・自治体・イベント主催者がすぐ使える行動指針を提示します。
具体的には、気象庁の防災情報と自治体の避難情報の確認、国土交通省ハザードマップポータルサイトでのリスク把握、屋外の飛びやすい物の撤去・固定、雨戸やシャッターを閉めカーテンを引く、窓から離れて安全を確保する、JRなど鉄道各社や高速道路の最新運行情報のチェック、モバイルバッテリー・懐中電灯・飲料水の確保など、実務に直結するチェックポイントを整理しています。
検索意図に応え、日常生活とイベント運営の双方で「何が危険になり、何をやめ、何を備えるか」が一目で分かるため、開催可否の判断、参加者への注意喚起、防災・減災の具体策を短時間で決められる構成になっています。
1. 風速20メートルとはどれくらいの強さ?体感と具体的なイメージ
風速20メートル毎秒(m/s)は、時速に換算すると約72キロメートル毎時(km/h)に相当します。
気象庁が用いる「10分間平均風速」でこの強さが続く状況は、台風や発達した低気圧の接近時などに多く、屋外での行動が著しく制限され、日常のちょっとした作業や移動が困難になるレベルです。
海沿い、山間部、ビル街の交差点やビル風が強まる場所では、同じ予報値でも体感がさらに厳しくなることがあります。
台風の区分では、風速15m/s以上が「強風域」、25m/s以上が「暴風域」とされます。
20m/sはその中間で、「強風域の上限に近く、暴風直前の段階」とイメージすると、危険度の感覚がつかみやすくなります。
1.1 風速20メートルの体感と気象庁の基準
気象庁では、風の強さを評価する際に「10分間平均風速(平均風速)」と「瞬間風速」を区別します。
平均風速が20m/sのとき、瞬間風速は一般にその1.5〜2倍程度まで上がることがあり、30〜40m/sの突風が発生しても不思議ではありません。
平均20m/sというのは、常時強い風が吹き続け、時おり強烈な突風が混じる状態で、将棋倒しのように自転車が倒れたり、固定の甘い軽量物が飛ばされたりするリスクが出てきます。
| 平均風速の目安 | 時速換算 | 人の体感 | 身近な現象(例) |
|---|---|---|---|
| 10m/s | 約36km/h | 向かい風で歩きにくい。傘が差しにくい。 | 樹木全体が揺れる。砂ぼこりが舞う。 |
| 15m/s | 約54km/h | 風に向かって歩けないことがある。身体が流されやすい。 | 固定が不十分な看板やのぼりが大きくばたつく。 |
| 20m/s | 約72km/h | まっすぐ立っているのが難しい。体を傾けても歩行が困難。 | 自転車が倒れやすい。軽い飛来物が増える。テントや仮設物は強固な固定が必要。 |
| 25m/s | 約90km/h | 屋外での移動が極めて危険。 | 多くの物が飛散しやすく、広範な被害のおそれ。 |
表の体感や現象は代表的な傾向であり、実際には地形や周辺の建物・樹木の配置、海岸や山間部といった環境によって差が出ます。
特に都市部ではビルの角や通り抜け通路で風が加速しやすく、同じ観測値でも局所的に体感が大きく変わることがあります。
平均風速20m/s時の瞬間風速は30〜40m/s程度に達する場合があり、突風のタイミングでは、飛来物の直撃や転倒など急激な危険が高まる点が理解のカギです。
1.2 風速20メートルで起こりうる身近な現象
屋外では、衣服や荷物があおられて身体のバランスを崩しやすく、視界には砂塵・落ち葉・小さなゴミが混じりやすくなります。
コンタクトレンズ使用者は目の乾きや異物感が生じやすく、会話や通話は風切り音で聞き取りにくくなります。
傘は実用にならず、レインウェアでもフードがめくれるほどの風圧を感じます。
住宅の周りでは、洗濯物やビニール製カバー、サンシェード、ベランダのマットなどが外れたり飛ばされたりすることがあります。
植木鉢やスタンド看板は転倒しやすく、駐輪場では複数の自転車が倒れやすくなります。
庭木は大きく揺れ、弱った枝や枯れ枝が落ちることがあります。
都市部では「ビル風」により、建物の角・トンネル状の通路・駅前広場などで風が集まり、急に強く吹くことがあります。
のぼり旗や装飾バナーは激しくばたつき、結束バンドやロープの弱い部分が切れることがあります。
工事現場の養生シートや仮設フェンスも大きくたわみ、固定が甘いと外れる危険があります。
海・川沿いでは白波が立ち、波しぶきが風にあおられて飛びます。
水辺に近づくと、濡れた路面に加えて突風で体が持っていかれる感覚が強まり、足元の安全確保が難しくなります。
橋の上や見通しの良い堤防道路は横風が強く、体や自転車・軽自動車への横風圧を顕著に受けます。
瞬間的には、軽量のプラスチック容器、段ボール、ビニール袋、枝葉、屋外掲示の一部などが飛来物になり得ます。
平均風速20m/sという数値は「ずっと強い風が吹き続ける」状態を意味し、そこに突風が重なることで、身近な物が飛びやすく、当たるとケガにつながる現象が起こりやすくなると理解しておくと、風のリスクをイメージしやすくなります。
2. 風速20メートルが日常生活に与える影響
平均風速20メートル(毎秒)は、気象庁が示す「非常に強い風」に相当し、屋外では傘が差せず、体が流されるように感じるレベルです。
街なかでも風の通り道やビル風が重なると体感は一段と厳しくなり、突風(最大瞬間風速)がさらに強まるため、普段どおりの行動は危険を伴います。
不要不急の外出はできる限り控え、やむを得ず外出する場合も行動範囲と滞在時間を最小限にし、屋外物の固定や撤収を事前に済ませることが現実的な対策です。
2.1 屋外での活動への影響
ジョギングや散歩、屋外の軽作業などの何気ない行動でも、風にあおられて転倒したり、目に砂ぼこりが入るなどのリスクが高まります。
公園の遊具や河川敷、海岸エリアは特に危険で、風下へ飛来物が流れてくる可能性もあります。
風向(風が吹いてくる方向)を常に意識し、壁・建物の風下側を選んで移動する、開けた場所に長時間とどまらない、工事現場や樹木の近くに近寄らないといった配慮が欠かせません。
2.1.1 歩行や自転車への影響
歩行では、体を前傾させても進みにくく、横風やビルの角、トンネル出入口で急にバランスを崩しやすくなります。
手に荷物や傘を持っていると一層不安定です。高齢者や小さな子ども、ベビーカー利用者は転倒・転落の危険が高く、エスカレーター・階段・ホーム端では手すりを必ず掴み、混雑時は無理に移動しないようにしてください。
自転車は、横風で車線外へ押し出されやすく、橋や高架、堤防道路、開けた海沿いでは制御が困難です。
通勤・通学・配達などでも乗車は原則中止し、徒歩や公共交通へ切り替える、やむを得ない場合は降りて押すのが安全です。
前後のチャイルドシート付き自転車は風圧を受けやすく、停車時も自転車が倒れやすいため使用を避けましょう。
2.1.2 洗濯物や屋外設置物への影響
洗濯物は強風でピンチから外れるだけでなく、物干し竿ごと落下・飛散することがあります。
ベランダや庭の軽量物は風に乗って周囲へ飛び、ガラス破損や通行人・車両への被害につながりかねません。
「屋外の可搬物は室内へ、固定できない大物は事前撤去」を基本に、早めの対応を徹底しましょう。
| 対象 | 主なリスク | 推奨対応 |
|---|---|---|
| 洗濯物・物干し竿 | 飛散・落下・隣家への接触 | 室内干しへ切り替える。物干し竿は室内に取り込み、外せない場合はロープでしっかり固定。 |
| 物干しスタンド・簡易ハンガー | 転倒・滑走・破損 | 必ず室内に退避。屋外放置はしない。 |
| 植木鉢・プランター | 落下・転倒・破片の飛散 | 室内へ移動。大型は地面に下ろし、風下側で壁寄せ固定。 |
| サンシェード・すだれ・オーニング | 布・骨組みのはためき・脱落 | 畳んで固定。外せるものは外して保管。 |
| ガーデンパラソル・タープ | 骨ごと飛散・傘状に持ち上がる | 完全撤去。支柱は地面に横倒しで保管。 |
| ゴミ箱・ポリバケツ・スツール | 転倒・滑走・フタの飛散 | 屋内保管。屋外はチェーン・重しで固定しフタは外すかロック。 |
| 自転車・ベビーカー | 転倒・移動・部品破損 | 屋内またはサイクルラックへ固定。カバーは外すかロープで密着固定。 |
| エアコン室外機カバー | カバーのみ飛散 | 取り外して保管。固定できない装飾品は外す。 |
| 表札・のぼり・看板(家庭用) | 落下・脱落部の飛散 | 取り外せるものは撤去。固定金具の緩みを点検。 |
2.2 建物や構造物への影響
20メートル級の強風では、古い屋根材や外装の緩み、老朽化したフェンス・波板の外れ、看板のぐらつきが顕在化しやすく、思わぬ破損につながります。
屋根上やベランダの外側での点検・補修は非常に危険なため、風が弱まるまで登らない・身を乗り出さないのが鉄則です。
停電や通信障害の一因となる樹木の枝折れも起こりやすいため、電線付近や大木の風下を避けてください。
2.2.1 窓ガラスや屋根への危険性
窓は風圧そのものよりも、飛来物の衝突で破損する事例が多く、屋根材はめくれ・浮き上がりが発生することがあります。
雨戸・シャッターは早めに閉め、サッシは全て施錠し、カーテンやブラインドも閉めてガラス破片の飛散を抑えるのが基本です。テープを貼る簡易対策は飛来物の衝撃を防ぐものではなく、粘着剤の跡が残る場合もあるため、養生の目的や範囲をよく確認して行ってください。
屋根・外壁・アンテナの異音やぐらつきを感じても、強風時の応急対応は行わず、風が収まってから専門業者に相談しましょう。
2.2.2 飛来物による被害のリスク
強風は、看板、のぼり旗、トタン、工事用パネル、宅配ボックスのフタ、木の枝など多様な物を運びます。
建物の風下側に退避し、開けた場所やビルの谷間、交差点の角、駐車場の屋上階など、風が加速・乱流化する地点を避けることが重要です。
自家用車はカーポートや建物の風下に駐車し、ドアの開閉は手で保持して一気に開かないようにしてください。
工事現場や老朽化した構造物の近くには近寄らないのが賢明です。
2.3 交通機関への影響
鉄道・バス・道路は強風規制や安全確認のため、遅延・運休・通行止めが発生しやすくなります。
特に海沿い、高架、橋梁区間は横風の影響を受けやすく、ダイヤの乱れが長引くこともあります。
最新の運行情報を随時確認し、早めの出発・経路変更・予定の見直しを前提に行動することが実用的な備えです。
2.3.1 電車やバスの運行状況
鉄道では、強風区間に速度規制がかかり、さらに安全が確保できない場合は区間運休や全線運休となることがあります。
ホーム上は突風でふらつきやすく、列車通過時は吸い込まれるような風が加わるため、ホーム端に近づかないでください。
券売機や改札付近が混み合うため、振替輸送・迂回路を事前に把握し、スマートフォンの充電を十分に確保して情報収集しやすい状態にしておくと安心です。
バスは道路状況の影響を強く受け、ダイヤの乱れや一部停留所の通過が生じる場合があります。
停留所では横風を受けやすいため、車道側に寄りかからない、到着時に突風で体が流されないように両足を踏ん張るなど、安全な姿勢を心がけましょう。
| 場面 | 想定される影響 | 具体的な備え・行動 |
|---|---|---|
| 出発前 | 遅延・運休・混雑 | 運行情報を確認し、代替経路や振替輸送の手段を確保。出発を前倒し、荷物は両手が使えるリュックに。 |
| 移動中(駅・停留所) | 突風・転倒・落下物 | ホーム端から離れる。手すりを使う。広告板・のぼり・工事箇所の近くを避ける。 |
| 運休・大幅遅延時 | 足止め・長時間待機 | 無理に移動せず、安全な屋内で待機。目的の再設定や予定変更を検討し、関係者に連絡。 |
2.3.2 道路交通への影響と運転の注意点
道路では、橋・高架・海沿い・堤防道路・見通しの良い直線は横風が強く、トンネル出口やビルの切れ間では急に風向・強さが変わります。
大型車の追い越し時は風の当たり方が一瞬で変化し、車体が振られることがあります。
スピードを落とし、両手でハンドルをしっかり保持し、車間距離を通常より長くとるのが基本です。
二輪車は特に危険で、地域や道路によっては通行規制の対象となる場合があります。
| 道路環境 | 主なリスク | 運転の要点 |
|---|---|---|
| 橋・高架・海沿い | 強い横風・風の巻き上がり | 速度を控えめにし、車線中央を維持。大型車の風下に近づきすぎない。 |
| トンネル出口・ビルの切れ間 | 突風による急なヨーイング | 出口手前で減速し、ハンドルをじんわり切り足す準備。 |
| 見通しの良い直線 | 過信による速度超過と横風流出 | 一定速で走り、側風標識の区間は一段と減速。 |
| 市街地・樹木の多い道 | 枝折れ・看板の落下 | 歩行者・自転車のふらつきに備え、左側余裕を確保。落下物は無理に避けず減速して回避。 |
| 駐車・乗降 | ドアの急開・隣車や人への接触 | 風上側のドアは必ず手で保持し、ゆっくり開閉。荷物は最小限に。 |
ルーフボックスやキャリア積載物、荷台の幌は風の影響を受けやすいため、事前に取り外すか確実に固定してください。
二輪車や軽量車は横風で進路を乱しやすいので、強風時の運転は避けるのが賢明です。
道路・高速道路では強風による速度規制や通行止めが実施される場合があるため、標識・電光掲示の指示に従い、安全最優先で行動しましょう。
3. 風速20メートルがイベントに与える影響
風速20メートルは、屋外イベント運営において重大な安全リスクを伴う風速域です。
テントや仮設ステージ、看板などの設営物は転倒・飛散の可能性が高まり、場内外の歩行者や観客、スタッフへの被害につながります。
さらに、会場までの移動や待機列の運営、避難導線の確保にも大きな制約が生じます。
この風速域に達する見込みがある場合、屋外イベントは「原則として中止または延期」を第一選択とし、やむを得ず実施する場合でも規模縮小・入場制限・設営物の撤去など徹底したリスク低減が不可欠です。
3.1 屋外イベントの中止・延期基準
イベントの実施可否は、風速の数値だけでなく、風向、会場の地形(ビル風や谷間風)、最大瞬間風速の出現可能性、周辺の落下物・飛来物要因(工事足場、樹木、看板)など複合的に判断します。
風速20メートル(予報・実況)が想定される場合、参加者・スタッフの安全確保を最優先して屋外開催は見送る判断が適切です。
| イベント種別 | 主な影響 | 推奨判断(風速20メートル) | 代替・縮小案 |
|---|---|---|---|
| 音楽フェス・市民ステージ | ステージ屋根・トラス揺れ、スピーカー・照明の落下、音響トラブル | 原則中止・延期 | 屋内会場への振替、無観客配信、機材縮小 |
| 花火大会 | 着火困難、煙流れ不良、火の粉飛散、観客密集での避難困難 | 中止(安全確保困難) | 別日延期、来場自粛の早期告知 |
| マラソン・ロードレース | ランナーの転倒・低体温リスク、コース上の落下物、誘導サイン飛散 | 原則中止・延期 | コース短縮、屋内待機所増設 |
| マルシェ・フリーマーケット | テント・のぼり・簡易棚の転倒、商品の飛散 | 中止(設営物撤去必須) | 屋内会場へ移設、テーブルのみでの時短開催(無風時に限る) |
| スポーツ試合(野球・サッカー等) | 用具の飛散、ピッチ上の視界不良、観客席の落下物 | 中止・延期(安全最優先) | キックオフ繰り下げ、無観客化(設営物最小化) |
| 屋台・キッチンカー | 火気の不安定化、排気の逆流、看板・日除けの破損 | 屋外営業中止 | キッチンカーの待機・撤収、屋内販売へ切替 |
3.1.1 判断の拠り所
気象庁が発表する強風に関する情報(注意報・警報、風向・風速の予報や実況)を基礎とし、会場周辺の地形や高層建物の配置など現地特性を加味して判断します。
最大瞬間風速の見込みが強まる場合は、より早い段階で中止・延期を決定します。
3.1.2 タイムラインと意思決定
開催前日までに第一次判断(中止・延期・縮小)を行い、開催当日は最新の実況と会場の実風状況を踏まえて再判定します。
設営開始前に危険が予見される場合は、スタッフの安全を守るため設営自体を中止します。
3.1.3 最大瞬間風速と風向の考慮
予報値が平均風速か最大瞬間風速かで危険度は大きく異なります。
風向が会場の風の通り道(ビル風が加速する方向、開けた海側など)と一致する場合、短時間でも急激にリスクが高まるため、より保守的な判断が必要です。
3.2 設営物やテントへの危険性
風速20メートルでは、仮設物の固定力を上回る力が加わるおそれがあります。
簡易テントやタープ、のぼり、バナー、仮設フェンス、仮設看板などは転倒・飛散の危険が高く、使用中止や早期撤収が妥当です。
ステージや照明・音響の高所機材も、吊り物や覆いの撤去、設置高さの低減、作業停止を含む厳格な対応が必要です。
| 設営物 | 主なリスク | 推奨対応(風速20メートル) |
|---|---|---|
| ワンタッチテント・タープ | 骨組みの破断、天幕の破れ、全体の飛散 | 使用中止・撤収(重り追加のみでの継続不可) |
| パイプテント | 脚部の浮き、ペグ抜け、横幕による帆効果での横転 | 天幕・横幕の外し、撤収。風上側から段階的に作業 |
| ステージ屋根・トラス | たわみ・ボルト緩み、付帯バナーの帆化 | 高所作業停止、吊り物・幕類撤去、立入規制 |
| 看板・バナー・のぼり | 支柱の折損、プレートの飛散 | 撤去・収納。必要表示は低位置の掲示に代替 |
| 仮設フェンス・立て杭 | 列倒れ、滑走移動による接触事故 | 固定強化でも不可、撤去・導線の再設計 |
| 屋台・火気設備 | 炎のあおり、火の粉飛散、器具の転倒 | 屋外使用中止。ガス元栓閉止・消火器常備・撤収 |
3.2.1 テント類の固定・撤収判断
テントは横幕や庇が「帆」になりやすく危険です。
撤収時は風上側から順に幕を外し、複数名で脚部を押さえながら作業します。
ペグや重りの回収は最後に行い、近傍に第三者が入らないよう誘導します。
3.2.2 飛来物対策と養生
未固定の資機材、サイン、折りたたみ椅子、ケーブル保護カバーなど軽量物は全て撤去・収納します。
屋外配線は結束と養生を徹底し、電源は防水性と漏電対策を確認したうえで不要回路を遮断します。
3.3 参加者への安全確保と注意喚起
強風時は入場規制や滞在時間の短縮、導線の一本化など、会場運営自体を安全最優先で再設計します。
中止・延期や規模縮小の判断は、混乱を避けるため明確かつ同一内容で、会場アナウンス・掲示・SNS以外の現地案内など複数手段で同時通知します。
| 想定リスク | 運営側の対応 | 参加者へのお願い |
|---|---|---|
| 飛来物・落下物 | 立入禁止エリアの設定、頭上注意サイン、巡回強化 | 帽子や傘の使用を控え、両手を空ける。ヘッドホン等の外し |
| 待機列の転倒 | 屋内・建物風下への待機場所変更、列の短冊化 | 間隔を広めに保ち、指示に従って一時退避 |
| 視界不良・砂塵 | 砂利・土エリアの封鎖、清掃・散水の中止 | 目の保護のためメガネ着用、コンタクトの方は注意 |
| 交通・アクセス遅延 | 入場時間の分散、チケット時間帯指定の緩和 | 早めの出発と、無理な来場を控える判断 |
| 体温低下・体調不良 | 風を避けられる休憩所の開放、温かい飲料の提供 | 防風・防寒の準備、体調不良時は速やかに申告 |
3.3.1 混雑・待機列の運用
建物の間や開けた通路は風が加速しやすく、列が一斉に崩れる危険があります。
風下側や屋内に誘導し、案内サインは低い位置で掲示します。ベビーカーやキャリーケースは固定・たたみを促します。
3.3.2 救護・事故対応体制
救護所の位置を風の影響が少ない場所に設定し、スタッフ同士の連絡手段を確認します。
軽傷対応用の救急セットやAEDの配置を周知し、緊急時の通報体制をあらかじめ共有します。
3.3.3 チケット・返金等の案内
中止・延期の決定時は、振替日程や払い戻し方法、注意事項を簡潔にまとめ、同一内容で掲示・アナウンスします。
会場周辺の滞留を避けるため、退場順や動線を明確に示します。
4. 風速20メートルで備えるべき緊急対策
風速20メートル級の強風は、瞬間的にさらに強まる突風(ガスト)を伴いやすく、飛来物や窓ガラスの破損、停電・断水などの二次被害に直結します。
安全に直結する事前の情報確認と、屋内外の養生、避難の判断、ライフライン停止への備えを具体的に進めましょう。
4.1 事前に確認すべき気象情報とハザードマップ
強風への備えは、最新の公式気象情報と地域のハザード特性を合わせて把握することから始まります。
予報だけでなく、実況(現在の観測値)を随時追うことで、急な発達や進路変化に対応しやすくなります。
4.1.1 観測と予測でチェックする指標
「平均風速」と「瞬間風速」の両方、注意報・警報の発表状況、降雨・高潮などの複合リスクを同時に確認し、具体的な行動に結びつけることが重要です。
| 情報・基準 | 意味・着眼点 | 推奨アクション |
|---|---|---|
| 平均風速(10分間平均) | 継続的な風の強さ。体感・構造物への持続的な負荷を判断。 | 屋外作業の中止判断、ベランダ・庭の片付けと固定を前倒しで完了。 |
| 瞬間風速(ガスト) | 突発的な最大値。飛来物・転倒・破損の主因。 | 窓から離れて過ごす、外出・梯子・高所作業は禁止。 |
| 強風注意報・暴風警報 | 危険度の公式指標。地域により基準が異なる。 | 注意報段階で準備を完了、警報発表前に必要な避難・移動を終える。 |
| 気圧配置・進路予想 | 発達する低気圧・台風の接近、風の向きの変化。 | 風向に応じて窓・出入口の養生位置を優先的に強化。 |
| 降雨・高潮・高波の併発 | 水害・停電の同時発生リスクが高まる。 | 内陸は土砂災害、沿岸は高潮・越波の可能性を考慮して避難先を選定。 |
| 自治体・交通・インフラの運行情報 | 計画運休・学校休業・施設閉鎖などの予定。 | 出勤・登校・イベントの可否と代替手段を早めに決定。 |
4.1.2 公式アプリ・通知の活用
気象庁の防災情報や「NHKニュース・防災」「Yahoo!天気・災害」などの国内で広く利用されるアプリを活用し、エリアメール(緊急速報メール)・自治体の防災メールを受信できる設定にしておきます。
音量・通知の「常に鳴動」を有効化し、深夜の急変にも気付ける環境を整えましょう。
4.1.3 ハザードマップと地域特性の把握
市区町村が公表するハザードマップで、土砂災害警戒区域、浸水想定区域、高潮浸水想定区域の重なりを確認します。
避難所候補は複数想定し、徒歩で安全に行ける経路を昼夜両方で把握します。
河川・海岸・高架下・工事現場付近は強風と飛来物の複合リスクが高いため、避難経路から外しておくのが安全です。
4.1.4 家の点検と固定・養生の準備
ベランダ・バルコニー・庭の物干し竿、植木鉢、物置、サンシェード、ガーデンチェア、自転車、プロパンガスボンベの転倒防止金具などを取り外す・屋内退避・ロープ固定します。
車は樹木・電柱・看板のそばを避け、飛来物の少ない場所へ移動します。
窓は雨戸・シャッターを完全に閉め、施錠と戸袋の点検を行います。
雨戸がない窓は、飛散防止フィルムや厚手の養生ボード・段ボールを内側から当て、カーテン・厚手の布で二重に覆います。
窓ガラスへテープを米字に貼る方法は、破損時に大きな鋭利な破片になり危険なため推奨されません。
窓際から家具・寝具を離し、ガラス片対策としてスリッパ・厚手手袋・ゴーグルを手元に置きます。
停電に備えて懐中電灯・ヘッドライト・ラジオの位置を家族で共有し、冷凍庫の保冷材やペットボトルを凍らせておきます。
防災リュック(非常持出品)は玄関近くにまとめ、すぐ持ち出せるようにします。
4.2 強風時の避難行動と安全確保
避難は「強くなる前」に完了させるのが原則です。
移動そのものが危険化するため、無理な外出や車移動を避け、在宅避難が安全と判断できる場合は屋内にとどまって身を守る行動に切り替えます。
4.2.1 避難の判断とタイミング
自治体の「高齢者等避難」「避難指示」などの避難情報を基準に、注意報段階から準備を開始し、警報級の見込みが示された段階で移動を終えます。
夜間の移動は視界不良と飛来物で危険が増すため、可能な限り日中に完了します。
自宅が堅固で窓が少ない内側の部屋を確保できる場合は、屋内避難(屋内の安全な場所にとどまる)を選択します。
車での避難は横風に弱く高架・橋梁で危険性が高まるため、必要最小限とし、やむを得ない場合は風の弱い経路と駐車場所を事前に確保します。
4.2.2 屋内での安全確保(窓・出入口・高所)
割れやすい窓やベランダから離れ、建物の中心部や窓の少ない部屋(廊下・納戸・トイレなど)で過ごします。
シャッターや雨戸は確実に施錠し、中途半端に開けないようにします。
玄関ドア・勝手口は風圧で急に開閉しないよう最小限にとどめ、換気口・小窓も閉めます。
停電の可能性があるためエレベーターの使用を控え、移動は階段を利用しましょう。
ヘルメット・防災頭巾・厚手手袋・履き慣れた靴を家族分用意し、浴槽に生活用水を張っておきます。
4.2.3 屋外移動が避けられないとき
傘は使わずレインウェアを着用し、ヘルメット・帽子・ゴーグルで目と頭部を保護します。
自転車は押して歩き、やむを得なければ歩道側で建物の陰を選びます。
工事現場・仮設足場・樹木や電柱、老朽看板、ガラス張りの沿道、河川敷・海岸・橋の上は避けてください。
飛来物に備え、風上に体を向けて低い姿勢を取り、信号待ちや横断時も周囲の上方・側方を常に確認しましょう。
4.2.4 乳幼児・高齢者・ペットの配慮
乳幼児は抱っこ紐を優先し、ベビーカーは強風で煽られやすいため避けます。
高齢者には付き添いをつけ、常備薬・お薬手帳・補聴器・眼鏡を携行します。
ペットはケージとリード、フード・水・ペットシーツ、ワクチン記録を準備し、同行避難の可否や受入条件を事前に自治体で確認しておきます。
家族と離れた場合に備え、集合場所と安否確認方法(災害用伝言ダイヤル(171)・災害用伝言板)を統一しておきましょう。
4.3 停電や断水への備え
強風は樹木の倒木・飛来物による配電設備の損傷を招き、計画停電や広域停電に至ることがあります。
電気・水・通信が同時に止まる前提で、生活維持の備蓄と代替手段を多重化しておくことが鍵です。
4.3.1 72時間〜1週間分の備蓄目安
政府・自治体は少なくとも3日分、可能なら1週間分の備蓄を推奨しています。
人数と日数で逆算し、アレルギーや乳幼児・高齢者向けの個別ニーズも反映させます。
| 品目 | 目安・ポイント | 備考 |
|---|---|---|
| 飲料水 | 1人1日3リットル×必要日数 | ペットボトルや箱買いでローテーション備蓄。 |
| 非常食 | 1日3食×人数×日数(主食・主菜・間食) | アルファ化米・レトルト・缶詰・栄養補助食品など。 |
| 調理用熱源 | カセットコンロとボンベを十分量 | 屋内で使用時は換気と一酸化炭素中毒に注意。 |
| 照明・電池 | LEDランタン・ヘッドライト、機器に合う乾電池 | ろうそくは転倒・延焼の危険があるため避ける。 |
| 通信・充電 | モバイルバッテリー、車載充電器 | モバイルは省電力設定、充電は屋外換気の良い場所で。 |
| 簡易トイレ | 1人1日分×日数(目安:5回程度/日) | 凝固剤・防臭袋・トイレットペーパーを同封。 |
| 衛生用品 | ウェットティッシュ・アルコール・ラップ・ビニール袋 | 断水時の洗い物削減・手指消毒に有効。 |
| 保温・防水 | レインウェア・防寒着・アルミブランケット | 停電時の体温低下を防ぐ。 |
| 応急・工具 | 救急セット・ガムテープ・ロープ・軍手・ブルーシート | 破損箇所の一時養生・雨漏り対策に。 |
4.3.2 電源・情報手段の確保
モバイルバッテリーは満充電にし、節電モード・通知の優先設定を見直します。
ポータブル電源・車載インバーターを活用する場合は屋内換気と排気ガス・一酸化炭素中毒に十分注意し、発電機の屋内使用は行いません。
冷蔵庫は開閉を最小限にし、冷凍品と保冷材で庫内温度を保つと持ちが向上します。
ラジオは予備電池と共に用意し、安否確認には災害用伝言ダイヤル(171)・災害用伝言板を利用します。
4.3.3 断水・トイレ対策
断水に備え、浴槽・ポリタンクに生活用水を確保します。
食器にはラップを敷き、洗い物を減らします。
トイレは便器に簡易トイレをセットし、凝固剤で固めて防臭袋で密封します。
集合住宅では停電によりポンプが停止して水が出ない・排水が滞る場合があるため、流す回数を抑え、簡易トイレを優先しましょう。
4.3.4 片付け・復旧時の安全
風が十分に収まってから屋外点検を行い、倒木・電線・ガラス片には近づきません。
感電防止のため濡れた手で電気設備に触れず、ブレーカーの確認は足元の安全を確保して実施します。
屋根・高所作業は転落リスクが高いため専門業者に依頼し、破損箇所はブルーシート・テープで一時養生に留めます。
損害の状況は写真で記録し、保険会社・自治体の罹災手続きに備えて保全しましょう。
5. まとめ
結論:風速20メートルは、気象庁の目安で「非常に強い風」の下限に当たり、屋外活動・交通・仮設物の安全余裕が急速に失われる領域です。
したがって、不要不急の外出を控え、まず人命と安全確保を最優先に行動するのが合理的な判断です。
日常生活では、歩行や自転車の走行が困難になり、看板などの飛来物リスクが高まります。
ベランダや庭の物は屋内に入れる・固定する、雨戸やシャッターがあれば確実に閉める、窓から離れて過ごすなど、室内の安全化を徹底してください。
自動車の運転は可能な限り避け、やむを得ない場合は速度を落とし、横風と飛来物に備えます。
交通機関は、鉄道や航空便、路線バスで遅延・運休が生じる可能性が高まり、高速道路では速度規制や通行止めが行われる場合があります。
早めの移動見直しと、最新の運行情報の確認が重要です。
イベント運営では、屋外イベントは中止・延期の判断が現実的です。
テントや仮設ステージ、掲示物は転倒・破損や飛散の危険があり、設営・撤収時も事故につながります。
参加者導線の安全確保や避難の周知よりも、危険を回避する判断を優先しましょう。
備えとして、気象庁の防災気象情報や「Yahoo!天気」「ウェザーニュース」で最新の警報・注意報や風予報を確認し、自治体の防災メールや国土交通省「ハザードマップポータルサイト」で周辺の高潮・浸水・土砂災害リスクも把握します。
停電・断水に備え、懐中電灯、モバイルバッテリー、飲料水、非常食、常備薬を準備し、家族間の連絡方法を決めておくと安心です。
要するに、風速20メートル時は「外で無理をしない・物を飛ばさない・窓際に寄らない・停電に備える」の4点を徹底することが、被害を最小限にする最善策です。

